尾崎喜八「山の絵本」を読む/渡邉建志
も自分にとっては結局すべて虚妄に過ぎない。」 虚妄!
尾崎喜八は山を音楽に喩えることの多い人である。のちにこれが若き宇野功芳http://shop.gakken.co.jp/shop/order/k_ok/bookdisp.asp?isbn=4054017711を惹き付け、彼の音楽評論に山の喩えを逆に持ち込むことになる(ブルックナーの交響曲第八番の終楽章において「巨大なアルプスが堂々と全容を現すのである」等)。宇野功芳の文章についてはまたいつか取り上げてみたい。ここでは尾崎に戻る。
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念場ガ原の寂寞の秋を、行く先急ぐ人々にとって、これは余りに堪え難い単調さだろう。しかし空間と大地
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