詩心に目覚めたわけ/炭本 樹宏
達ならいいと言われた。僕は焦る気持ちからキスを求めた。すると彼女は拒絶した。そのときに頭に血がかっとのぼって、殺してやるッと思ってしまった。すぐにこぶしで顔面をなぐった。最低の男だ。一発思いっきりなぐって、バイバイと捨て台詞を残して去った。
時間が経つにつれ後悔の念がふつふつとわいてきた。心配にもなってきた。踵をかえしてもう一度、彼女の家に戻った。窓ごしに彼女の泣いてる声が聞こえた。ごめんなさいっと何度も謝ったが、彼女は泣いたままだった。窓越しに僕は土下座した。許してはもらえなかった。
その夜から僕の地獄の生活は始まった。毎日毎日電話した。看護学校に通っていたので、待ち伏せもした。許しても
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