消えてしまいたい。/フユナ
言うことがなくて、ほのぼの家族らしい生活をしたのはここ一、二年のことでした。父が一度目の失踪から帰ってからです。父は自尊心がとても強く、いらんことまで言う天の邪鬼な性格で、持って生まれた頭の良さをもてあますような人でした。性格のせいで出世を阻まれるタイプです。詩を書く人に多そうですね(苦笑)
ですが反面、とても寂しがりなひとでした。一度目の失踪の後、いつも忙しい母が構ってくれるようになったのを、とても嬉しがっているようでした。ですが、やはり家に父を信じさせ、安心させる何かはなかったのでしょう。今となっては、わかりませんが。
何も、今日のことをひけらかしたいのではありませ
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