西域に消える/MOJO
ラスに貼り付けようと提案し、そうしてみたが摂氏五十度の砂漠は我々を遠慮なしに灼いた。地平線の彼方でゆれている蜃気楼は、熱帯植物の茂る南洋の小島のようであり、たまに出ればいいものを、さっきから出っぱなしで、ありがたみがなくなってしまったし、駱駝の白骨死体はここまででもう五体は見ただろうか。エアコンの故障で、備蓄してある水も湯になってしまい、あとどのくらいでトルファンへ着くのか陳さんにそっと訊ねると、それは成田からハワイまでのフライト時間に等しかった。
私は消えてしまいたかった。灼けたバスのなか、私が許される雰囲気はない。エアコンが壊れたのは、とどのつまりそういうバスを手配した者が悪い、つまり観光
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