西域に消える/MOJO
 
観光会社が悪く、おまえはその一員であろう。無言の糾弾が最前席に座る私の背中を刺し、私は何を思ったか、まだ壊れていないカラオケで「昴」を唄ったが、疎らな拍手のあとで、振り返えり愛想笑いを向ける気にはなれなかった。すがる気持ちでとなりの座席の陳さんに目を向けると、陳さんは膝の上に書物をひろげ、その横顔は私とは決して目を合わすまい、と決心しているようであり、陳さんが読んでいる本に目をやると、それは「地球の歩き方/シルクロード」で、いっそう消え入りたい気持ちが募った。
 千Kmの灼熱の果て、どうにかこうにかトルファンに辿り着いた。ホテルへチェック・インし、シャワーで汗を流した我々はダイニングに集合し、大
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