西域に消える/MOJO
 
っている先生もいるに違いないのだ。このツアーが始まるまでは他人同士だった先生方は、互いに遠慮し合い、行程をきりあげてホテルへ戻ろう、とは言い出せず、そういうところはじつに先生らしくはある。

 我々は万里の長城の西の端からここタクラマカン砂漠のオアシスの町トルファンまで小さなバスに乗ってやって来た。飛行機が欠航し、宿泊予定のホテルの予約も組替えられなかったから、バスを仕立てるしかなかったのだ。バスが砂漠に入って暫らくは、蜃気楼や白骨化した駱駝に先生方も喜んでカメラを向けていた。しかし途中、こともあろうに、バスのエアコンが故障した。8月のタクラマカン砂漠でだ。先生方の一人が古新聞を濡らし窓ガラス
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