浸透と破水/キキ氏の作品について/渡邉建志
ながら、船の音を思う。漕ぐ音。それから夜明けの月。船の上の死んだ君とわたし。
なぜだか蒼い、君の眼球。白みにはうっすら血が通っていて、あんま
り揺れるのでくべてしまう
さあ手を、
くべてしまう、という音が頭から離れない。うまく理由がいえないけれど、こういうことばはきれいだなあとなんとなくおもう。「ので+くべてしまう」の背景にある順接の論理がまったく汲み取れなくて、でもまったく不条理でもなくて。そのへんの人間の衝動というか欲望というか無意識での行動というか、を、ふとあらわしていていいなとおもう(なんだかよくわからないけれど、とにかく揺れるからくべてしまったんだね!というかんじで
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(6)