浸透と破水/キキ氏の作品について/渡邉建志
くる日には背びれが生えて夏の庭
にも睡れんが、}
文節ずつで凍っていく場所
何もない。君の顔。
の自然な交代。淀みのような。とても美しい。そして、
浮きつ回りつ、
や、
「漕ぎだせば、月、ありあけ」
の、凍った時間のつながり。短い単語の中の。つ、がいいですね。それと、この、「ば、名詞」の形には、強いイメージ喚起の力があると思う。「トンネルを抜ければ雪国」的に、読者を引っ張っていって新しいせかいを見せていく。読者を連れて行く。
「漕ぎだせば、月、ありあけ」がずっと忘れられないでいる。ふとしたときに、ふと頭の中で再生される。それを聞きなが
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