教室の中心で、愛を叫ぶ/神音
 
上がり、鞄に本を入れる。
 放課後の教室って言うのは、意外と静かなもので、聞こえるのは僕らの声と、運動場から聞こえる、体育会系の部のかけ声。それから、吹奏楽部が奏でる音色。
「ねえ、もし私達がこの小説みたいになったら、どうする?」
「え?……そんな不吉な話し、できればしたくないんだけど」
「例えばの話しよ。私はいたって健康だもの」
「話して、この小説のアキみたいに死んじゃったら、俺、後追うよ?俺は朔みたいに強くないから」
「ご冗談?」
「真剣に」
 そこで、いったん僕らの会話は途切れた。
 周りの雑音は聞こえてくるのに、この空間からは生まれない音。この空間だけの沈黙。それが、心地
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