どこにでもある話 1/いとう
 
が変わったらしい
それまでのラブラブモードが
ブレーカーが落ちたように急変し
懐中電灯もろうそくも持っていない
そんな備えはまったくしていなかった彼は
暗闇でオロオロするだけだった
恋愛のブレーカーがどこにあるかなんて
知ってる奴はまずいない

「でもそんなのはどこにでもある話
どうせ新しい男ができたんだろう」
あたりまえの反応に彼は無反応で応えて
彼の話を続ける

彼と彼女は話し合った
正確には話し合おうとした
そして当然話し合いにはならず
彼女の一方的な宣言を彼が聞くことになった
「今はあなたとの関係に自信が持てない。
1ヵ月だけ考えさせてください
それ
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