小詩篇 「砂浜」/芳賀梨花子
 

幾万の痛みとなって
わたしを襲う


「4月」


静寂と別れを
夢見草が誘う
わたしには関係がない
ただここに座り
悲しみはひざっこぞうが理解する



「5月」


浜昼顔の蕾をさんこむしった
あしたは、きっと雨


「6月」


口惜しくて泣けなくなった貝殻は
いつのまにか海の底へ
竜宮城を探す
あぁ、また
Deja`vu

ワンピースを着た少女のわたしが笑う
お前は、いつも、わたしを苦しめて
それなら、いっそ殺してしまおうか
と、降りしきる雨に言った


「7月」


湿った砂浜を歩く
黒くて重くて

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