家族/捨て彦
 
ならば
家族である私たちは
互いの全てを
許しあわなければ
ならない。

互いの全てを
知らなければ
ならない。



和人にとって
この場所が
唯一の
許される場所であるために
私も全てを
曝け出さなければ
ならない。

だから私の
全てを
これから語ろう。




和人。




お父さんはね。
ひょっとこが
好きなんだ。

ひょっとこだ。

ひょっとこを
知っているか?
ひょっとこというのは
たこのような間抜けな顔をした
お面のことだ。
お面屋さんでもよく
売られているだろう。


お父さんはね

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