家族/捨て彦
昔子供の時に祭りの出店で
あのお面に出会い魅せられて以来
ずっとひょっとこを
集めつづけているんだ。
お前はもう
忘れてしまっただろうが
私の書斎の一番奥の机の引出し。
一度昔、
お前が開けようとして
お父さん
酷く怒ったよな。
実はあの中には
私の秘蔵の
ひょっとこコレクションが
入っていたんだよ。
ごめんな。
あんなに怒鳴って。
とてもとても
恥ずかしかったんだ。
でも
私は今でもあの日のことが
気になっているんだよ。
面と向かってもう一度
お前に謝りたい。
謝りたいんだ。
実は今日
帰る途中にも
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