消失/岡部淳太郎
こにされた人の息の真下、
ぎゅうぎゅうに詰められた脛の脇、
理論を蹴り倒して、
プールの底の冬を助け起こす。
人はパンのみにて生きるのか。
ぐらぐらと頭が揺れても
もはやぴよぴよと鳴く鳥もなく、
哀れなる主(ぬし)は、
血眼のまますげなく捕食する。
あさはかな
あかさたな
経巡る時を、
いまこそ栄光のうちに治めよ。
(消失 三)愛の基地
肩に揺れる愛の基地。
ペーペータオルのかたち。
ぴりぴりと痙攣、
猫、にゃあと鳴く。
女、よよよと泣く。
ぴゅっと矢を吹き、
灰のまんなかにプリンを置く。
今日は来ぬ。
ぽろぽろと、爪、
弾くヘルメッ
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