星のうまれるところ/汐見ハル
には
さがしていたものではないと
知りながら
のみこめばのどの奥が
ちりりと痛み
いまさらながらに気づく
そういえばここは闇だった、と
そしてふいに
遠く
誰か、でしかない
誰か
そのひとの頭上、はるかかなたに
星はきらめいていた
ひとつきり
それはわたしの頭上でもあった
ただ ただ
星ばかりみあげて
腕を
ゆびを
のばして
とどかず
それでも
ただ ただ
星だけをみつめて
からだの真芯に
灯りつづけるひかりに
気づけないでいるひと
やわらかく、しずかに
あふれだす
涙、みたいな
目を凝らすと
ひかりの中心
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