星のうまれるところ/汐見ハル
 
中心に
たぶん水晶なのだろう
すみついて、根を生やし
とがった
つるぎのかたちの結晶が
幾本も
星のかたちにのびてゆく
ゆっくりと
やわらかい内臓に
くいこみながら
 
風がとおる
名前のわからない花の香りが
からみついた皮膚に
ほどけて
 
苦痛に顔をゆがめ
それでもなお
届かない星に手をかざす
そのひとの
抱える星を
みつめつづける
声は出なかった
のどのおく
いちばんふかいところから
ちりちりと痛みはやってきて
わたしに教える
 
わたしの真芯にも
やはり
水晶が灯り
やわらかく
この身を食い破ってゆく
 
眠ることもかなわず
歩くことも忘れて
ただ みとれている
届かないことを知ってのばす腕は
つるぎのかたちにあわく
にじむひかりだ
 
星をみつめつづける
のぞむままに
夜は 終わらないだろう
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