掌/蝶番 灯
 


誰かを苦悶させている事に気付いた

誰かを歓ばせる事もなく

誰かを悲しませているだけで

意味の無い生命を

意味も無く維持していたんだ






掌が震えたらお水はもっとなくなってしまう

「哀しむな」






「こわい こわい かなしい くるしい

だれか だれか ここへ、 きて」

気が付けばもう孤立していた

周りには何も無かった

在るとすれば憂いだろう

また 今 誰かが手を離した

叫びもとうに届かない






涙の粒がお水に溶けても変わりません

ああ もうすぐ



[次のページ]
戻る   Point(0)