掌/蝶番 灯
 





既に無い愛を求めた

涙なら枯れた

窓に映るあたしの顔をなぞった

腫らした目が醜い

あたしは既に

自分の顔等忘れていた

あたしは久しぶりに使う声で

こう 呼びかけた






掌に残る微かなお水は

闇に残る置いてけぼりの光






「あなたは、誰?」






掌から堕ちた、最後のお水

きれいな 夢想 くずれて






窓の向こうのあたしは

返事を返さなかった






乾いた掌に 涙が一粒おちて

それは闇を 絶望を

照らすたった一縷の








夕闇に

夕闇に、また

僅かな幸せが消えていく
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