ありえざるもの/大覚アキラ
、部屋の中は真っ暗だ。おまけに例によって体の自由が利かない。
あ、金縛りだ。
いつものように、深く考えずそう思った。だが、本当の恐怖はそこからだったのだ。
突然、何の前触れもなく、テレビがついた。当然、ぼくはリモコンには触っていない。画面に映し出されているのは、灰色の砂嵐だ。これだけでも、ぼくはほぼパニック状態に陥った。
テレビは、ぼくの寝ているベッドの右側に置かれていて、ベッドの左側は壁になっていた。テレビから放たれる灰色の鈍い光が、部屋の中を照らしている。
と、そこで、ぼくはさらにおかしなことに気がついた。
ぼくの左側の壁に何か不自然な影が浮かび
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