天使に非ず/
 
ぶ、とか、飛べない、とか以前に、そもそも飛ぶ為の器官が無いのだ。どうしようもあるまい。

彼女は素晴らしく大きい、白鳥のような、逞しやかな翼を生やしていた。

「それ、すごいね」僕は彼女が産まれてから何度聞いたか分からないのと同じ称賛の言葉を口にした。「ありがとう」彼女は産まれてから一度も失敗したことのない感謝の微笑を浮かべて、僕にもそう答えた。それから僕は自分のことを俺と呼ぶようになった。家族が心配するぐらい、詩を書いた。彼女は僕の前では飛ぼうとしない。一度も飛んだのを見た事がない。それがどういう意味かぐらいは、俺も分かった。彼女は愛おしそうに俺の背中に頬擦りをして言った。「好き」どうし
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