メモ3(今のこと、音楽、人間のこと)/由比良 倖
い、という不思議な体験をした。そのことは、やっぱり脳が音楽を音楽たらしめている、という証拠になるようにも思える。
でも、再生機器としての脳が壊れたために、つまり僕の頭の中のCDプレーヤーが壊れたために音楽を聴けない状態になってしまったとしても、情報としての音楽は依然として存在しているはずだ、と考えることも出来る。脳が壊れていると、もちろん音楽は作れないし、音楽を聴けない。でも、だから音楽は脳の産物なのだ、とは言えないと思う。音楽は依然として存在している。それは常に作られるのを待っているし、聴かれるのを待っている。
人間がいてもいなくても音楽は存在するけれど、同時に人間がいなければ、音楽
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