スローイング婆と食パンをついばむバードたち/菊西 夕座
沼で、飢えと無為をしのげる絶好の機会とばかり、ブロックの張られた地上すれすれ、まるで超えてはならない境界線にふれるのをためらうようにしつつ、おさえきれない興奮をたかめて餌をさかんにくちばしからすいこんでいた。こぎたない身なりをした素老婆のほうは、ニンニク臭をかすかに漂わせ、師走ものりわずかな年の瀬ながら、春の到来をおもわせるつかのまの高温にめぐまれて、着ふるした肌着しかまとわなくってもちっともかまわないという自然権を盾に、正午をまえにしてはやくも独りぼっちの狂熱を発散しはじめた。白鳥が餌にありつける狂喜をおさえきれずに胸をはって身もだえし、その威圧感の下でちょろちょろしながらカモが隙をついて餌をく
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