久しぶりの日記/由比良 倖
起きても何にもしたくないし、音楽も活字も、僕の脳神経の隙間を素通りしていくようで、遂には「何で生きてるんだろうな」という思考まで浮かぶようになった。
ミンガスのベースは地に足が着いている。彼が作曲した多くの曲もまた。彼の感情は、はっきりと他者に向けられている。ミンガスは黒人差別にいつもいつも怒っていて、演奏にも作曲にも怒りを思いっ切りぶつけていたと言われているけれど、今彼の音楽を、録音から60年以上も経って、日本の、寝惚けたような街の片隅で聴いている僕には、ただただ彼のアルバムが思いっ切り素晴らしい、美しいということしか分からない。
全てが繋がりの中にあることを、僕は本当にしばしば
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