久しぶりの日記/由比良 倖
 
しば忘れてしまう。この世に生きているのは僕ではなく、僕以外の全てだ。「紙のノートに毎日いっぱい書いてみるといい」とYouTubeで言っていたことを鵜呑みにして、ノートにペンで書き続けた文章を読み返していたら、紙面がほぼ自己愛的なことで埋め尽くされていて、自分の醜さに嫌気がさした。僕は他人の為に祈ることが出来ない。何よりも自分の快感を優先していて、欲望の亡者でしかなくなっている。昔はこんなんじゃなかったな、と思ったら悲しい。けれど、自己愛ゆえの苦しみという、この宇宙のどこを探しても見つからないレアな感覚を、十数年もみっちりと享受できたことって、考えようによっては、とてもラッキーだ。ビッグバンには既に
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