久しぶりの日記/由比良 倖
 
既に精神的苦痛の素が含まれていたのだろうか?

 眠るのは好きなんだけど、眠れない一日は灰色の苦行のように長く、なのに眠れない一ヶ月は、苦行の成果がすっぽりワープしてどっかに行ってしまったんじゃないかと思うくらい短く、「何にも無かったなあ」「ただ何もかもが衰えていく」という、灰色の毒素が体中に満遍なく行き渡ったような感慨しか残らない。
 明るい眠りの後で、澄んだ風の中で目覚められたらな、とベッドに入る前には(泥のベッドの前で)諦め半分にぼんやりと願う。
 眠れない。なのに何故か夕食の時間にはどろどろと眠っていることが多くて、最近は両親と一緒に食事することが少ない。そろそろ日付が変わる頃にな
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