たもつ『父の献立』鑑賞 /室町 礼
 
いびつなものになりかねない。
単独者は〈恋愛〉もいいびつであり〈政治〉
的な立ち位置もいびつになる。
詩や小説を読むときもいびつであり、文学
鑑賞もじつのところ全的に理解できない宿命
が本人の知能や知識の問題とは別の理由で存
在する。
まして詩や小説の批評などほぼ不可能といえる。
わかったふりをしているがわたしは父や母や
恋人や兄弟の悩み、葛藤や愛憎を描いた詩歌を
真円には理解できていない。恋愛沙汰の懊悩も
理解できないし国家、宗教への偏執も理解でき
ない。わたしは多分、生涯、無宗教、ノンポリ
である。
本来わたしはある意味文学的な存在ではあるが、
それゆえに文学に関
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