見えているのなら難しくない/ホロウ・シカエルボク
 
ていた、それは技術的にというよりは気分的にとでもいうようなものだった、どんなに言葉を積み上げても気分が乗らなかった、頭が真っ白になってどこまでも指が動き続けるようなあの感じがどうしても戻って来なくなった、それがないことが愚かにも俺の判断を鈍らせた、本来自分がどんなテンションで書いていようが、読んでいる側にはそんなこと関係が無いのだ、その時の俺にはそんなことわからなかった、気分が乗っていないからこれは良くないものだと感じていた、はっきり言っておこう、魂は字面には乗らない、気構えとしてそういうものを持っているのは別に悪いことじゃない、けれど、出来上がったものにまでそれを求めるのは間違いというものだ、先
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