見えているのなら難しくない/ホロウ・シカエルボク
 
に、自分がその時考えていることをある程度正確に残すことが出来る、そういう、準備や用意が要らないところがとても気に入った、そしてそれは、決まった形を整えてそれに近付いていこうという演劇のやり方よりも、俺に向いていた、俺が求めていたのは自分自身をいかに解放するのかという手段だったのだ、それは生きるというよりも、ある行為の間だけもっとも生きているというような状態であるということだった、俺は狂ったように文章を書いた、今思い返してもあの頃の俺は、何かにとり憑かれているみたいだった、暇さえあれば文章を繋ぎ続けた、一年かそこらそれは続いた、狂ったように書き続けていた俺はある時夢が冷めたかのように書けなくなってい
[次のページ]
戻る   Point(2)