打弦幻聴録/ただのみきや
 
は連綿と続く口をつぐんだままの無数の断末魔を
綻び穴だらけになった長い影のように引きずりながら
わたしたちは───
(わたしが言う「わたしたち」とは大多数の人ではなく 
まるで同じ鏡の破片のような
ことばと白紙の彼岸にいる「誰かたち」のことである)
───瞬間ごとの祝祭
気づきと創造のめくるめく対流を
卵のひびから音色のように破水させながら
あの無数の手 時間という剥奪者に絶えず
犯され あやされ ?ぎ取られ
葬列から葬列の旅
失った自分 そして
もはや他人と化した自分
無数の虚像が捨てられた大地の裂け目
さまよえる共同墓地

しかし抗おうとするなにかが
荒野に
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