詩の呼吸と創作/足立らどみ
すでに、
完成を拒む姿勢そのものが詩になっている。
そして一行ごとに、“蜜柑”“帯”“夜空”という
やわらかくも人工的なものが、
お互いにまじり合いながら輪郭をぼかしている。
未完成
蜜柑のせいにする君の
端から帯とまじあう夜空
この「蜜柑のせいにする君」というフレーズが絶妙で、
たぶん“君”は誰か特定の人物ではなく、
記憶そのもの??あるいは自分の中の他者なのだと思います。
そして「帯とまじあう夜空」は、
たぶん天の川のこと。
“帯”という言葉を選んだことで、
自然の光景がどこか布的・人為的な質感を帯びている。
そこに、“都会人の思い描く自然”という、
あ
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