今はむかし/由比良 倖
、重なり合って、許し合って、許しだけが奇跡みたいな、
ドラム、電気ギター、みんな社会とか、活字とか、
行間と電子と、雨のクスリなんだ、世界はそれだけ、
世界から飛び出して、天使の文字を届けたい、
ドラッグとか、苦痛とか、言葉の上方に建てられた危なっかしい血液の料理でもなく、
聖像やノートばかりでいっぱいのトレーラーハウスでもなく、
私には私の穴が、雑然とした文字の海が、心臓のダストシュートが、ありますから、
私は私へと投身自殺したいです、背中の内側で、胸の裏側で、
……それにしても世界は、見えない虫の住み家なのかもしれません、透明な、
(あなたは這いつくばって成長したこと
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