闇のうた/秋葉竹
心を泳ぐ魚が
とても穏やかな日は
暖かくて誰にでも優しくできるよ
いつも見向きもしない
知らない家のまえに置いてある
鉢植えの花にだって
綺麗だねって心で声をかけたりする
裏通りの石畳を歩く靴音も
なんだか元気っぽく聴こえるぞ
たそがれどきに漂う
ちいさな優しさがほおを撫ぜてくれる
みあげれば高い空に一番星がキラッて
砂にまみれて汚れた自転車が
これだけ使ってくれれば僕も本望です
って云ってるのを心の耳で聴く
夕陽がまるで潮が引くように引いてゆく
そしたら大好きな闇がベールを掛けてくれる
この街にもこの世界にも
カラスは鳴きながら
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