『exist's』〜霧子の朝に/洗貝新
 
たまの中は靄で叢となり
雑木林を抜けると砂地にひろがる
指先の乾いた夜には
少しだけ緩めた弦を弾いてやる
いつまでも鳴り響くように      ザギリキリ
朝は晴れるだろうか
音園のないオルガンに歌う
遠く霞んだ教室に一人立たされていた
記憶の                 どうして泣いている
微細に
砂埃り舞う小さな運動場から聞こえてくる   場の
にぎやかに躍る薄青い歌声
大人になったいまでも覚えている      何故か       
二人の女児の名前〜かほこにちえみ  何故か       
姉と幼なじみが覚えていた

白い乳房をぶら下げて咲いていたリュウゼツラ
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