全行引用による自伝詩。 02/田中宏輔2
 
光をふりそそぐ力がないならば、せめてそれをさえぎらないようにするがよい。
(トルストイ『ことばの日めくり』一月三日、小沼文彦訳)

 神は愛そのものではない。愛は人間における神の現れの一つであるにすぎない。
(トルストイ『ことばの日めくり』五月二十四日、小沼文彦訳)

 愛は二人だけのものである。たとえそれがつまらない、気取った、ばかげたものであっても、愛し合う二人だけのために愛は存在する。
(フエンテス『脱皮』第二部、内田吉彦訳)

〈知性〉の第一の義務は自己に対する懐疑である。これは自己軽蔑とは別物だ。想像された森の中で道に迷うことは現実の森の中で道に迷うことより難しいが、そ
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