全行引用による自伝詩。 02/田中宏輔2
 
あったことで通り道ができたかのように、新しい理解がジーンのもとに届いた。
(アンナ・カヴァン『愛の渇き』大谷真理子訳)

しかし、その真実は、はたして彼の知っているとおりなのだろうか。
(フレデリック・ブラウン『さあ、気ちがいになりなさい』2、星 新一訳)

ぼくは過去の食卓のうえに今この食前の祈りを繰り返す。
(ディラン・トマス『飼鳥が焼けた針金で』松田幸雄訳)

「聞いているかね、友よ?」
 彼女は一語余さず聞いていたし、それぞれの語のあいだに広がる暗黒にも耳を澄ませていた。
(ロバート・リード『地球間ハイウェイ』第二部・ジュイ・1、伊藤典夫訳)

 身をこがして光を
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