全行引用による自伝詩。 02/田中宏輔2
 
望訳)

 そう、私は真実を要求した。しかし心の奥底で私が本当に欲望していたのは、驚異だったのだ。
(ミシェル・ジュリ『熱い太陽、深海魚』松浦寿輝訳)

 しかし、人と近づきになる楽しみは、すべての楽しみがそうであるように、間違いなく確実な出費を要求した。
(A&B・ストルガツキー『世界終末十億年前』第二章、深見 弾訳)

 微笑は、今の話を本気にする必要はないと語っていた。だが、信じたふりをしてくれれば嬉しいという含みも感じられた。
(ロバート・F・ヤング『たんぽぽ娘』伊藤典夫訳)

 ところが、そのあいだに不思議なことが起こった。まるでふたつのからだがぴったりと触れあっ
[次のページ]
戻る   Point(11)