全行引用による自伝詩。 02/田中宏輔2
 
ックスに表示され、ほぼデジタル化された神経電荷として脳にはいり、記憶、快感、その他の中枢に放電する。
(ヒルバート・スケンク『ハルマゲドンに薔薇を』第二部、浅倉久志訳)

存在は秩序を必要とする。
(トム・ゴドウィン『冷たい方程式』伊藤典夫訳)

「わたし、どれくらいいられるの?」
 自分の思考の谺(こだま)にも似た質問に、彼は思わずたじろいだ。
(トム・ゴドウィン『冷たい方程式』伊藤典夫訳)

どうやら自分の経験と酷似しているような表現に出くわしたのだ。
(ナボコフ『青白い炎』詩章第三篇、富士川義之訳)

 詩人の真価は、有限な表現による言語の舞いではなく、知覚と記憶、
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