全行引用による自伝詩。 02/田中宏輔2
 
わりに』小川 隆訳)

「メタファーとはなんだね? だれか?」
「メタファーは、ふたつのものを類似させる言葉のあやです」
「ちがう、ふたつもまちがいがある。類似は最初からそこにある。メタファーはそれを見るだけだよ。そしてメタファーは、たんなる言葉のあやではない。人間の精神の本質そのものだ。われわれ人間は、類似性や対比や関係を見出すことで、自分たちの周囲のものを、自分が経験したことを、自分自身を理解しようとする。われわれはそれをやめられない。たとえ精神がそれにしくじっても、精神は自分に起きていることをなんとか理解しようと努力しつづける」
(コニー・ウィリス『航路』下巻・第二部・承前・34、
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