全行引用による自伝詩。 02/田中宏輔2
 
ンゲレ』小川 隆訳)

──とはいえ、こうしたこともしょせん人間性の一部ではないだろうか?
(ルーシャス・シェパード『竜のグリオールに絵を描いた男』1、内田昌之訳)

 時の歩みをもっともよく教えるのが手である。手は、ひとが三十歳になる前から老いはじめる。
(レイナルド・アレナス『めくるめく世界』35、鼓 直・杉山 晃訳)

 わたしは両手を上げて、見ようとした──今は手の甲に静脈が浮いていることも知っていた。手に静脈が浮き出した時が、人が大人になった時なのだ。
(ジーン・ウルフ『拷問者の影』4、岡部宏之訳)

(…)「どうやら、死ぬことは気にしていないみたいね──さばさばし
[次のページ]
戻る   Point(11)