全行引用による自伝詩。 02/田中宏輔2
のだ。ほら、この真理は自然界のあらゆる仕組みに見いだせる──花粉の雲や、蠅(はえ)の群れや、鳥の渡りにだ。こうした出来事は正確さこそあれ、混沌としている。その正確さは過剰さからくるものであり、百万発撃って標的に数発あたるようなものだ。いや、悪は混沌ではない。簡潔さであり、システムであり、断ち切るナイフの一突きなのだ。とりわけ、回避不可能なことだ。善のエントロピー的解決であり、創造性の絶対的単純化なのだ。ヒトラーはずっとこのことを知っていたし、国家社会主義はつねにそれを具現していた。電撃戦や強制収容所がこの単純さの戦術的表現でないとすれば、なんだというのか?
(ルーシャス・シェパード『メンゲ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(11)