全行引用による自伝詩。 02/田中宏輔2
 
く見てとることができるのだろう。情念の疾風は、魂を、それが高い位置をとっている場合に、より多くとらえる。それに加えて、魂はおのおのの材料の上に完全に身をのせきり、そこで全体で働きを行い、けっして同時にひとつ以上のことを扱わないのだ。そして材料を、それに従ってではなく、みずからに従って扱う。事物というものはおそらく、独自に、それ自身の重さや寸法や性質を持っているのだろう。しかし、われわれのなかへはいってしまうと、魂は、自分の了解しているとおりにそれらのあり方を裁断して、事物に着せかけてしまう。(…)
(…)われわれに事物についての了解を与えているものは、われわれ自身なのだ。
(モンテーニュ『エセ
[次のページ]
戻る   Point(11)