全行引用による自伝詩。 02/田中宏輔2
 
要だ。その分量があまりに多いと、相手は傷つき、関係を断ってしまうだろう──一生の絶交になることもある。
(ミシェル・トゥルニエ『メテオール(気象)』第七章、榊原晃三・南條郁子訳)

(…)愛が完全かどうか(…)を見る試金石、まちがいなく見分ける指標は何かと言うと、次のようなまれな現象が起こっているかどうかだ。すなわち、顔に欲望を覚えるという現象。体のどの部分より顔にエロティシズムがあるように思われる時……それが愛だ。おれは今、顔こそが人間の体の中でもっとも官能的な部分だということを知っている。人の体の中で真に性的なのは、唇であり、鼻であり、とりわけ目なのだ。
(ミシェル・トゥルニエ『メテオ
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