全行引用による自伝詩。 02/田中宏輔2
、ふさわしい分量が決まっている。おれと話をする人間の中でも、弱いやつほど作り話や嘘を欲しがる。そういうやつには真実を嘘で塗り固めて、生きる助けにしてやらなければならない。生の言葉ですべてを語れる相手は、限りない知力と寛い心をもった存在、つまり神だけだ。神が相手の時はシニスムは考えられない。というのはシニスムは、相手が耐えられる以上の真実を伝えたり、我慢できる以上のどぎつい言葉を発するのに役立つからだ。そこで思うのだが、友達関係を耐えられるものにしようと思ったら、たがいに相手を買い被らなければならない。それに見合った優れた人間にならなければと重荷に感じて、相手がいつも不快になるほどの買い被りが必要だ
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