全行引用による自伝詩。 02/田中宏輔2
の音、その波紋、その風がふたたびくりかえされることはないからです。これこそがだれもがたどらねばならん旅、耳をろうする悲劇なのです! しかし、きちがい詩人がそれを別なものにしたいと願うでしょうか? 一度も歓喜のないものに? 一度も落胆のないものに? 一度もむきだしの神経で人生をつかみえないものに?
(ジャック・ヴァンス『愛の宮殿』8、浅倉久志訳)
恐怖には二つの種類がある──本能的なものと、条件づけられたものとだ。
(ジャック・ヴァンス『殺戮機械』5、浅倉久志訳)
最初は確かにおずおずと、ためらいがちに読んでいた。膨大な数の本を前にして立ちすくみ、どうやって進めばいいのかさっぱりわ
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