全行引用による自伝詩 02/田中宏輔2
 
もいえない色艶をしていて、いい香りがする。それはおれじゃないあるものだ。おれとは別のもの、おれの外にあるものだ。しかし、おれがそれに触れる、つまり指を伸ばして?んだとする。するとその時、何かが変化するんだ、そうだろう? パンはおれの外にあるのに、おれはこの指で触り、それを感じることができるんだ。おれの外にある世界も、そういうものじゃないかと思うんだ。おれがそれに触れたり、それを感じたりできるのなら、それはもうおれとは違った、別のものだとは言えないはずだ。そうだろう?」
「いいかい、ジョニー、何千年も前から髯をはやした大勢の学者たちが、その問題を解こうと頭を悩ませてきたんだ」
「パンのなかは昼な
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