全行引用による自伝詩 02/田中宏輔2
らなかったの?」
「そう、わからなかったのよ。さあ、手を洗ってっていったでしょ……」
(チャールズ・ブコウスキー『職業作家のご意見は?』青野 聰訳)
私は階段をさらに上って行かなければならない。
何度も階段を上がる。
一生のあいだ、崇高さと奇矯さとの違いをたっぷりと味わい尽くして。
(ゲルハルト・ケップフ『ふくろうの眼』第二十四章、園田みどり訳)
(…)「美しい人間は心のなかまで美しいと、本気で思ってらっしゃるの? わたしは同意できないわ。その伝でいけば、醜い人間はなかまで醜いということになる」
「いいえ、そうは言ってませんよ」シスター・ブリジェットは面白がっていた。「わた
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