コールドスリープ/由比良 倖
『永遠の青』
永遠の青が私の眼を染めて昨日を染めて手帳を染めて
心臓目線で眺めればあのとき街はただ流血を切望してた
絶望に慣れたひとりが絶望に慣れたふたりになっただけです
針のない時計が刻むような音、空の果てまで空は続いて
さらさらと鳴るその音の一粒に入って胎児みたいに眠る
『電子の海』
見つめ合うカメラとカメラ、悲しくて空を飛んでる、ここも空き部屋
眼の前の物が見えないシャーペンの折れた先から神が生まれる
僕の眼を通して僕を眺めてる、「僕」「僕」「僕」と書いては殺す
モノクロの電子絵の具に掠れゆく街の
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