コールドスリープ/由比良 倖
街のフィルムを日々剥いで行く
世界中全ての窓に「窓」「地球」「風」「雲」「天使」「世界」と刻む
僕は君、僕は君から彼らへと、任意の二点でメフィストに会う
人生のルールを覚えて人生をプレイするのにひとりじゃ足りない
『コールドスリープ』
世の中の全ての単語を並べてもひとりの孤独を救えません
未来には過去の蓄積なんて無く世界が萌芽し虹となるだけ
何光年離れた先にあのときの手のぬくもりはそのままに光り
雨が降る気配がしたので窓を開け、消失点をすぐ傍に置く
息をしてないことにふと安堵して愛と呼ばれたそれを踏みにじる
夢の声世界の終わりのサントラを小さくかけて冷たい眠りを
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