それはまるで毛布のなかの両の手みたいで/中田満帆
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おまえは、──とやつはまたいいかけて、ぼくが遮った。聴くに堪えなかった。ぼくは折れた。それでやつの家にいくことになった。ニケツして丘をあがり、小学校のある区域へとのぼった。やつの家は公園のてまえだった。森のむこうから高速道路の灯りがちらちらしてる。ハイソを気どったらしい白い家にやつが誘った。
なにがあるんだ、家には?
ビールならあるで。
ほかには?
なぃで。
内装は白で統一されてる。薄汚れた白だ。壁紙の隅に黒黴が生えてる。なにか腐ったみたいな臭いがしてた。やつと台所へいった。そして木目のテーブルにかけてビールを待つ。やつが国産を4本持って来る。ぼくはそいつ
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