それはまるで毛布のなかの両の手みたいで/中田満帆
は勉強できへんから、みんなにばかにされてた、
おまえはユカのことが好きやったけど、ユカにはきらわれとった。
ユカのこと、修学旅行で追い回し、カメラで撮ろうとしてた、
おまえはユカからもらった自己紹介のカードにふざけたことを書いて先生に取りあげられてた、
おまえは議論の授業でいつもとんちんかんで場違いな発言をしてまわりをしらけさせてた、
おまえは中学1年、おなじクラスのやつをナイフで刺した、そいつは孤児で転校してもた、
おまえはだんだん学校に来なくなって、3年は1回しかいってなかった、
おまえはアリマの定時制にいって、おれらとはそれっきりや。
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